趣味日記Passage

趣味(映画・読書・イラスト・料理・音楽)のブログです

お絵描きと本の感想:ロール・アドレル著「パリと娼婦たち 1830-1930」

イラスト用のファイルを整理していたら懐かしい
絵が出てきました。

 

アニメーターやめて、時々イラストのお仕事を
いただいていた頃、趣味で描いた絵です。
(元絵はB4サイズのケント紙一部カット)

 

616a.jpg

 

616b.jpg

 

上のはペン描き。
帽子と服は1911年イギリスのモード絵から。

 

下のは当時のラフ画を鉛筆でクリンナップ
したもの。オリジナル。

 

 

 

この頃、ロール・アドレル著「パリと娼婦たち
1830-1930」という本をベースに19世紀頃の
フランス・パリを舞台にした娼館と娼婦の
漫画を描いてみたいと思ったことがありました。

 

作者が女性である事もあり、娼館のシステム
娼婦たちの日常を深く掘り下げた薀蓄本で
艶っぽい雰囲気はあっても具体的な描写は

ありません。


でもこれが。


すごく面白いのです。

 

図書館で借りて読んで気に入ったので、
ネットの古書店検索で探してほぼ定価で
購入しました。
(絶版です。こんな良本が。。。)

 

本の雰囲気がわかると思われる本文の
引用を。

 

「人は娼婦に生まれるのではない。娼婦に
なるのだ。それは、ひとつの職業であって
境遇ではない。(中略)評論家たちが「精液の

下水道」とか、「幻想の掃きだめ」などと見な

そうとも、彼女たちは心の底から娼婦なの

ではない。」

 

解説から引用。(一部略)

 

「19世紀の科学者たちは、娼婦は生まれつき
何らかの欠陥か悪しき特徴をもつものと
考え、大真面目に娼婦の顔や体、性格を
「分類」し「研究」していたという・・・。」

 

「小説家たち(男性)は、男を誘惑し身を滅ぼ
させる抗いがたい魅力の持ち主のイメージや
虐げられる哀れな乙女のイメージを誇張して
センチメンタルなステレオタイプを作り上げて
しまった。」

 

「著者は、こうした先入観を排して、「ほかの
女と同じような」女たちの姿を復元しようと
する。」

 

 

主に貴族相手の高級娼婦から街娼まで。
女性ならではの視点で分析、研究したこの
本。娼館の運営システムというのが実に
よく出来ていて面白い。その中で日々を
過ごす娼婦たちの息遣いが聞こえて
きそうな描写もとても秀逸なのです。

 

(ちなみに男性が読むと、女性心理がよく

わかって面白い!と思うかげんなりする

かのどちらかです、たぶん。

風俗好きな方は読まない方が良いかも。)

 

リアルで説得力のある、「娼婦という

職業」の話。

華やかでけだるくて悲惨な世界。

 

こういう話を綺麗な絵で誰か漫画にして
くれないかとずっと待っているのですが
誰も描いてくれそうに無いので力不足
ながら自分で描こうとして・・・挫折しま
したorz

 

 

 

 

 

 

どなたか漫画化してください。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・とか言いつつ、また描いてみるかも。