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漫画の感想:「かむろば村へ」いがらしみきお著

私は未読ですが、「ぼのぼの

 

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という作品で人気が出たいがらしみきお著の
一風変わった農村ライフの漫画をご紹介します。
(ネタバレ無し)

 

あらすじ(AMAZONの商品説明より転載)

 

主人公・高見武晴は、「金アレルギー」を

患った為に銀行をクビになり、東北地方に

ある「かむろば村」へ移住してきた。

彼はこの寒村で495人目の住人として、

農業をやりながら金を一切使わないで生きて
いこうと決めた。だがその村は、

 

●自他共に認める「神」の老人
●子供ながら超常的な力を秘めるその孫
●異常に世話好きな村長
●この上なくゲスなヤクザ者
●病的な嘘つき女子高生

 

などなど、不思議な現象と濃い住民たちが集まった
異世界のようであった。高見は持ち前の無鉄砲さと
酒乱の癖のため、散々周囲に迷惑をかけながら
生きていくが……

 

 

最初、絵が好みで無かったので(夫が購入)↓

 

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あまり期待せずに読み始めました。

 

 

一切お金を使わず生きていきたいという

主人公は村の人々の異様なほどの面倒見

の良さ(特に村長)で、なんとか食いつないで

いきます。

 

 

・・・こんな(親切すぎる)村、存在する訳ない。

 

 


と、ちょっと違和感を感じつつ(田舎の人達は

よそ者には最初、距離を置く事が多いらしい

ので)読み進めていくうちに、個性的な村人達

の言動の、「ありえなさ」と真逆の「リアリティ」

との間で展開する全く先の読めないストーリー

に徐々にハマっていきます。

 

主人公の高見は向こう見ずな言動が多く、村の

住人達から呆れられつつも放っておけない

雰囲気の人と見なされています。
それは私心・・・自分の利益だけを考える心が
ないからです。

 

この作品の中で作者は何度も

 

「なにも買わない
なにも売らない
ただ生きていく」

 

というフレーズを使います。

 

これは主人公のモットーなのですが、こんな
実現不可能なような欲のない事を言い
この「かむろば村」で世話になった村人達に
様々な形で恩返ししようとしながら(失敗する
事も多々あります)一所懸命生きていこうと
する主人公に、いつしか共感を抱くようになり
ました。(実際には同じ事は出来ませんが)

 

最初苦手意識を持った絵も、この素朴さが
作品内容には合っていて、この絵だから
こそ伝わってくるものが多い事にも気づき
ました。

 

 

 

この話の中には、自分の願った通りに

物事を変える事が出来る超能力を

持った一族が出て来ます。

 

もしも何でも思うままに出来る力を持てば
最初のうちは有頂天になる人もいる
でしょう。
際限なく「私欲」を膨らませて。


でもそれで得るものは、その人が「自分の

力で努力や挫折を経て勝ち得たものでは

ない」のです。

 

そのうち何でも思うままに出来る事が

当たり前になって、何の達成感も喜びも

得られなくなる事でしょう。

 

そういう生き方は「つまらない」と、私は
思います。

 

 

作者はそれを「ずるい(生き方)」と言い、
彼ら一族を特殊な位置づけにし、ある
方向に話を展開させます。
それはそれで、有りだな・・・と思った私。

 

 

どこかの漫画大賞を取っても良いのでは
と思う位ストーリーがしっかり構築されて
いて、面白い(ギャグ的な意味でも)作品。

 

お薦めします^^b