【天下くじ＋追加合成＋本の感想】

こんにちは。

伊藤潤の短編小説「国を蹴った男」読みました。

imagawa

今川義元の嫡男。↑この人の話。

蹴鞠（今で言うサッカー）が大の得意で歌詠みも上手い文化人

戦国時代に生きながら天下取りや国の行く末に関心がなく、
「暗愚」と言われたこの人をむしろ

戦争を嫌い己の運命に抗う事なく、その上で自分らしい生き方を
貫いた潔い人として、主に蹴鞠職人の目を通して客観的に書いている話

ラスト、氏真の時世の歌
「なかなかに世をも人をも恨むまじ　時にあはぬを身の科（咎）にして」
（もはや世間も人も恨むまい。時勢に合わなかったのは己の罪
なのだから）

「悔しともうら山し共思はねど　我世にかはる世の姿かな」
（口惜しいとも羨ましいとも思わないが、世の中は変わっていくものだな）

うーん・・・

蹴鞠についての薀蓄面白く、切ないけどいい話、感動した、
という人多そう
とても日本人好みの話

実際「この時代小説がすごい！」で短編ランキング1位になっている

しかしね・・・

逆らう者はその人物の善し悪しにかかわらず皆殺し
親（義元）殺して、嫡男氏真の蹴鞠の芸を「見世物」として楽しむ
信長のような人物にとっては

「逆らう意志がない」
「しかも自分を楽しませる才を持っていて披露する事を厭わない」

相手って、とても都合がいいのですよ

この氏真を現在の日本に置き換えると・・・なんとも複雑な心境に。

氏真という人物を変わった切り口で書いた事と、人情話的に
まとまりの良い読み物としてはとてもよく出来ています、この作品。

だけど読み終わって「あぁ、いい話だった」で思考停止しないで
いただきたい・・・

よく考えたら結構怖い話ですよ、これ。

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