【天下・天上・天戦・戦くじ13枚（特↑のみ）と本の感想】

こんにちは。

本の感想

「遠い朝の本たち」須賀敦子著

イタリア在住が長かった翻訳家兼エッセイスト
全集を買う前に読んだ本です。再読。

本の話ですが、所謂レビューではなく、読書にまつわる須賀敦子の
様々な思い出話がメイン

平易な言葉使いで物事の本質を描く彼女のエッセーから一部抜粋

「幼いころは、父が本を買ってくれて、それを読み、成長してからは、
父の読んだ本をつぎつぎと読まされて、私は、しらずしらずのうちに
読むことを覚えた。
最近になって、私が翻訳や文章を発表するようになり、父を知って
いた人たちは、口をそろえて、お父さんが生きておられたら、
どんなに喜ばれたろう、という。
しかし、父におしえられたのは、文章を書いて、人にどういわれるか
ではなくて、文章というものは、きちんと書くべきものだから、そのように
勉強しなければいけないということだったように、私には思える。

そして、文学好きの長女を、自分の思いどおりに育てようとした父と、
どうしても自分の手で、自分なりの道を切りひらきたかった私との、
どちらもが逃れられなかったあの灼けるような確執に、私たちは
つらい思いをした。

いま、私は、本を読むということについて、父にながい手紙を書いて
みたい。そして、なによりも、父からの返事が、ほしい」

同じ経験した訳ではないけれど
共感できる・・・

いつまでもきちんとした文章書けない私ですが・・・＾＾；

もうひとつ抜粋

「半世紀まえにひとりの女の子が夢中になったアン・モロウ・
リンドバーグという作家の、ものごとの本質をきっちりと捉えて、
それ以上にもそれ以下にも書かないという信念は、この引用を
通して読者に伝わるであろう。

何冊かの本をとおして、アンは、女が、感情の面だけによりかかる
のではなく、女らしい知性の世界を開拓することができることを、
（中略）私に教えてくれた。

徒党を組まない思考への意志が、どのページにもひたひたと
みなぎっている」

これは、大西洋横断飛行のリンドバーグ夫人の本の話ですが
この本から多大な影響受けたという須賀敦子の文章についても
言える言葉です

最後の一文、惚れました