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【本の感想【蜜蜂と遠雷】恩田陸著

こんにちは。
ondariku

蜜蜂と遠雷恩田陸


史上初の直木賞本屋大賞ダブル受賞という事で

本屋で平積み、出版業界猛プッシュ!


らしいですが、どうだかなー・・・と思いつつ読みました。


クラシック・ピアノ・コンクールの話。

冒頭の1P目、だけは「つかみ」が大事と思ったのか作者渾身の
文章という印象受けましたが

その後がいけません




簡単に言うと


「小説を読んでいると思ったら、漫画だった」


読みやすさ、わかりやすさは大切な要素だと思います

そういう意味では、とっつきはいいです。

でも・・・



本文から一部抜粋


「ほとんどのピアニストは行く先々の港で待ってる女に
合わせなきゃなんないのよ。
そういやこの女はここが性感帯だったなとか、意外に気難しい
奴だったなとかきちんと覚えておかないとあとが大変」

ステージに現れた少年を見て、三枝子たち三人は
あっけに取られた。
子供。(中略)
しかも、そのへんに溢れている、ガキんちょではないか。

少年は、いそいそと、そして恥じらうようにピアノの前に
優雅な動作で腰掛けたのだ。
三枝子は、なんとなくゾッとした。
少年の目に、喜悦が浮かんだのだ。それは明らかに、快楽の
絶頂の表情だった。

「快楽と嫌悪は表裏一体だ」

そして三枝子はつい想像してしまったのである。
あの素敵な面々が、カザマ・ジンの演奏を聴いて嫌悪感を滲ませ、
ヒステリックに、なんであんな下品な演奏を合格させたのかと叫び、
詰め寄られた自分たちが平然としているところを。

「そして、カザマ・ジンは合格した。まんまとホフマンの思惑通り、
我々は彼を合格させてしまった」


作者は本文中で、文芸業界とクラシック・ピアノの世界は似ていると
書き、どちらも食べていけるのはほんのひと握り、斜陽産業で読む人
聴く人の数はジリ貧。だから常に「スター」を求めていると言う。

前もって自分が「ほんのひと握りのスター」として賞を取れる事を
知っていて、稚拙で下品な言い回しが嫌悪感を抱かれる事を承知の上で、
こういう書き方しているように感じました。

しかも、賞を一旦取ってしまったらどんな作品でも「歴史」に
刻みつけられて無視する事が出来ない、とも書いてあります。

それが、文学・賞に対する冒涜である、という事も重々自覚して。






そのへんの諸々をちょっと置いといて。

作品全体の印象としては

登場人物の会話シーンが、いちいち薄ら笑い浮かべてる印象

全体に安っぽい・底が浅い・パクリ多すぎ(元ネタすぐわかる)

演奏聴いて「ゾッとする」人、「天才」多すぎ

クラシック音楽の音の表現が童謡とかディズニーランドの
アトラクションとかいうのは如何なものかと。


これで賞取っても、プロの作家としてどうなんだかな~・・・と
思うのですよ。
もっとも書いている当人はそう思っていないようで
「グロテスク」を書いた時の、桐野夏生の「ワタシって天才?(・∀・)」
的なナルシストっぷりといい勝負^^;



本好きな人ならきっと、読んでて悲しくなってくると思う

この程度の本が出版界の最高峰とか

エッセイストですが、平易な言葉を使っても奥深い豊かで精緻な
描写力で、読み手を圧倒する須賀敦子の爪の垢でも煎じて飲めと
言いたい


こんな駄作に賞とか与えるな、審査員のあほんだら








・・・まぁ、視点を変えて

「価値あるものを何も持たない国の人が、そうでない他国に対して
嫉妬に狂って高笑いしながら全ての価値を否定」


しながら作品書いたら、こんな感じになるのかなー・・・と

そんな感じで読むと、狂気の笑いに支配されてる底なしの絶望感と
果てしない破壊欲求ってすごいなー・・・と興味深く思えないことも
ないです。


でもそれは「見世物的な面白さ」であって「読書の楽しさ」ではない
のよね~


金とかコネの力でなくて、「本物」の力で賞を取る・・・というのはもう
今の日本では、難しいのかな。。。



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